3.11絵本プロジェクトいわて  9年という年月

2020年3月9日

 あれから9年という年月がすぎ、何度も見たあの時のものすごい景色が、いつの間にか見慣れない新しい風景にどんどん変わってきています。この新しい景色が地元の方達にとって、見慣れた自分たちの故郷の景色になっていくためには、まだまだ時間がかかるのでしょう。新しい景色に慣れていく時に、古い、懐かしい景色を何処かに置き去りにしてしまうのではないかという恐れのような悲しい思いがありはしないでしょうか。古い景色の中にいたあの人のことを忘れたくないという切なる思いがありはしないでしょうか。生きていくということはそういうことだとわかってはいても、やはり切ないものだと思います。
 私自身、もう30年以上前のことですが、今は二人とも40男になった息子たちが6歳と8歳だった時に、彼らの父親である、夫が突然死したのです。それからしばらくの間、死んだあの人を置き去りにして、世の中がどんどん先へ先へと変わっていってしまう、と耐えがたい思いがしました。考えてみれば、結局は、あの時の悲しみが、私自身をこのプロジェクトに駆り立てたのだと思います。津波の様子をテレビで見た後で、夜遅く、たまらない思いがして、眠れないままに絵本を届けたいのですが、とあちこちに電話をしたのです。それがこのプロジェクトの始まりでした。
 ただ、あの震災直後、あんなに小さかった沿岸の子供達が、もう中学生や高校生になっているということを考えると、辛いことだけれど、この新しい景色こそが彼らにとっての故郷になるのだということを肝に銘じなければならないのだろうと思います。それでもなお、大昔の津波のことをその昔、父たちがその父たちから聞かされてきたように、今度の津波がどんなに大変で恐ろしいことだったかを伝えていかなければならないとも思います。その思い出の中にこそ存在している人たちがいるのですから。
 私たちは、みんな、何かしらそのようなことを経験して、それぞれ生き続けているのだと思います。どの人の人生も、それなりに美しく、厳しく、そして悲しいこともあるのだと思います。この9年間にお会いした方達との思い出を振り返る時、その方達が経験した言葉にできないような思いもまた、私たちの中に静かに降り積もるように思います。全く同じ経験をする人はいないのだということを心にしっかりと受け止め、その上で、あの人、この人の辛い思いが少しずつ和らぎ、こころならずもあのような形で旅立ってしまった方達と、やがてまたあい見える日があることを思い、願い、今は全くわからない自分の旅立ちの時が、どのようなものになるのかを静かに受け入れられるようにと願っていきたいと思います。
 この震災がなければ出会うことのなかった、かけがえのないたくさんの友人たち。そして、支えてくださったたくさんの方達に、心からのお礼を申し上げます。私たちは、あと1年になった活動の期間を実りあるものにしたいと思っております。
 ありがたいことですが、ほとんど唐突なほど信じ難いのですが、この残った期間の活動に必要な資金はすでに十分いただいたと思います。そのため、活動資金の受付をこの3月末で締め切らせていただきたいと思っております。本当にありがとうございました。皆様がどのような思いで、活動資金をお寄せくださったかを考えると、お礼の言葉もみつかりません。みなさまの思いを無駄にすることなく、残りの期間の活動を精実に務めあげたいと思っております。どうか、最後までお見守りください。

3.11絵本プロジェクトいわて代表 末盛千枝子

第3回「エルトゥールル号からの恩返し 日本復興の光大賞17」特別賞を受賞しました。

2017年2月27日(月)、東京・元赤坂の明治記念館にて第3回「エルトゥールル号からの恩返し 日本復興の光大賞17」表彰式が開催され、特別賞を受賞しました。5年間の活動が評価され今後の活動の励みになりました。ご支援くださっているすべての皆さまに感謝申し上げます。
表彰式の様子はNPO法人日本トルコ文化交流会のホームページに動画が公開されていますので、どうぞご覧ください。


2017年3月11日

日本トルコ文化交流会ホームページ
http://www.nittokai.org/

更新履歴


2020.5.26:ブログ
絵本の小部屋に藤の花を飾りました。


2020.4.19:ブログ
活動を休止します。


2020.4.7:活動報告
4月7日の活動を報告しました。


2020.3.31:ブログ
桜前線北上中


2020.3.31:活動報告
3月30日の活動を報告しました。


2020.3.16:ブログ
もりおか町家物語館のお人形が変わりました。


2020.3.16:ニュース
3月9日の神戸新聞「日々小論」で兵庫図書館の応援展示が紹介されました。


2020.3.14:ブログ
祈りの灯火2020~思い新たに~が開催されました。

(2020/3/31 現在)
開梱済み件数:5,843件 232,696冊
配布済みの絵本:355か所 121,600冊
活動支援金の合計:32,362,312円

※活動支援金はみなさまからお寄せいただいた寄付金と 助成金などの交付金額を合算し、掲載させていただいております。

「一冊の本をあなたに
3.11絵本プロジェクトいわての物語」

一冊の本をあなたに

被災地の子どもたちに絵本を━━1通のメールから始まった呼びかけは全国に広がり、あっという間に23万冊もの絵本が届いたのです!その活動の全てを語る、絵本に希望を託した人たちの物語。ぜひお読み下さい。歌代幸子著・表紙挿絵舟越桂・現代企画室発行・1,944円

絵本サロン

絵本があって、ほっとできる場所、それを「絵本サロン」と名付け、盛岡のボランティアのアイデアで、いろいろな企画を考え、絵本サロンを運営してみて、被災地にお住まいの絵本好きな方々にノウハウを伝えていこうという『試して伝える』プロジェクトです。

詳しくはこちら
えほんカーを被災地へ!

えほんカーは目標の6台を完成することができ、現在までに5台を寄贈させていただきました。絵本による被災地支援は今後も継続して行っていきます。

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