絵本プロジェクトが贈る絵本原画展

原画展について

 『3.11絵本プロジェクトいわて』は東日本大震災後いち早く被災地の子どもたちに絵本を届けるために活動を開始し、現在までに5826箱、計23万冊の絵本が全国から寄せられ、すでに275カ所に10万冊を越える絵本を届けてきました。このプロジェクトに関わってきたボランティアはのべ4000人にのぼっています。皇后様からも、貴重なご本を何冊もお寄せいただき、活動に関わる人たちを励ましていただいてきました。
 本展は、震災直後から被災地の子どもたちに絵本を届ける活動の拠点となっている盛岡市中央公民館の企画展示室で、絵本プロジェクト代表であり世界的にも知られた児童図書編集者である末盛千枝子が個人的に持っている絵本原画等を中心として展示することにより、被災地で、困難を乗り越えようとしている子どもたちや、絵本の読み聞かせをしている人たち、またボランティアとして働いている人たちに励ましを与え、連携を深めることを目的とするものです。
 早くより「絵本プロジェクト」計画をご支援くださっていた皇后様からも、所蔵しておられる『橋をかける』や『バーゼルより』などの表紙や口絵の原画など、数々の貴重な作品をお借りし、展示出来ることになりました。


主な出展作と作家

舟越保武「ナザレの少年」、井沢洋二「そらに」、津尾美智子「パパにはともだちががたくさんいた」、ピーター・シス「日本の友人たちへのメッセージ」、ウォリック・ハットン「Silver Cow」「Tam Lin」、佐野洋子「女へ」、舟越桂「おもちゃのいいわけ」より、木彫作品、安野光雅「橋をかける」「バーゼルより」、堀文子「くるみ割り人形」、リスベート・ツベルガー「白鳥の湖」、ビネッテ・シュレーダー「ルピナスさん」、新井勝利「一寸法師」、まど・みちお「くじゃく」、林義雄「陶額入りミニアチュール」、柿本幸造「どんくまさん」
その他


作家紹介

舟越保武(ふなこし やすたけ、1912年12月7日〜2002年2月5日)
1912年、岩手県二戸郡一戸町小鳥谷生まれ。日本を代表する彫刻家。
県立盛岡中学校在学中に高村光太郎訳「ロダンの言葉」に感銘を受け、彫刻家を志す。
1939年、新制作協会に新制作派協会彫刻部が設けられ会員になる。
代表作に「長崎26聖人殉教者記念像」「原の城」「病醜のダミアン」などがある。

まど・みちお(1909年11月16日〜)
1909年に山口県徳山町(現・周南市)に生まれる。本名は石田道雄。
詩を作り始めたのは20代からで以来作り続けている。創作の源は政治・行政・教育・戦争に対する不満。童謡としても「ぞうさん」「やぎさんのゆうびん」等が日本中で親しまれている。
1979年に第22回厚生省児童福祉文化奨励賞受賞。
1992年には皇后美智子の選・英訳による「どうぶつたち」(The Animals)が日本とアメリカで出版される。
1994年に国際アンデルセン賞作家賞。
1999年に1998年度朝日賞。
2003年に第59回日本芸術院賞。他にも多くの賞を受賞している。

安野光雅(あんの みつまさ、1926年3月20日〜)
1926年に島根県の津和野町に生まれる。1948年4月招集、同年8月15日に香川県玉越村(現周南市)で終戦を迎える。
1950年上京し美術教員として玉川学園に勤める。教師を続けながら本の装丁等の仕事を続けていたが依頼が多くなり、1961年に教師を退職。画家として独立する。
1968年に「ふしぎなえ」で作家デビュー。その後、多くの作品を発表。
1974年に芸術選奨新人賞、ケイト・グリナウェイ賞特別賞、ブルックリン美術鑑賞等を受賞。
1978年にボローニャ国際児童図書展を受賞。
1984年には、全業績を称え国際アンデルセン賞を受賞する。
1988年に紫綬褒章。2008年に菊池寛賞受賞。
2001年に故郷の津和野に「安野光雅美術館」が開館
2012年に文化功労者。

佐野洋子(さの ようこ、1938年6月28日〜2010年11月5日)
1938年に中国の北京に生まれる。終戦後帰国。
武蔵野美術大学デッサン科を卒業。その後ベルリン造形大学でリトグラフを学ぶ。卒業後、デパートに就職。職場でデッサンやイラストの仕事をこなしながら「やぎさんのひっこし」で絵本作家としてデビュー。
代表作の「100万回生きたねこ」は誰もが知る絵本となり、海外でも翻訳され出版される。
2004年にはエッセイストとして「神も仏もありませぬ」で小林秀雄賞を受賞。
2012年には「ドキュメンタリー映画 100万回生きたねこ」が公開される。

堀文子(ほり ふみこ、1918年7月2日〜)
1918年東京都麹町区平河町に生まれる。
女子美術専門学校(現・女子美術大学)師範科日本画部卒業。
1938年、在学中に第2回新美術人協会展に入選。
1940年に卒業し、新美術人協会会員になる。画家としての活動の他「キンダーブック」、「ふたば」などで挿絵等を描く。
1948年、1949年に創作美術展奨励賞を受賞。
1974年〜1999年まで多摩美術大学で日本画科の教授として指導にあたる。
主な著作は「楽園幻想」「ホルトの木の下で」「ひとりで生きる」等がある。

舟越桂(ふなこし かつら、1951年5月25日〜)
1951年に岩手県盛岡市に生まれる。1975年に東京造形大学彫刻家を卒業。
楠(くすのき)を素材に多くの木彫作品を発表している。
1986年に文化庁芸術家在外研究員として一年間ロンドンに在住。
1997年に第18回平櫛田中賞を受賞。2002年には中原悌二郎賞を受賞している。
2003年には東京都現代美術館で「舟越桂1980-2003」展が開かれる。その後、栃木県立美術館、北海道立旭川美術館、高松市美術館、岩手県立美術館、広島市現代美術館を巡回。
海外でも個展を開くなど日本に留まらず海外でも人気を集める。
著書には「森の行く日」「水のゆくえ」等がある。

新井勝利(あらい しょうり、1895年3月6日〜1972年6月21日)
1895年に美術商の息子として東京に生まれる。本名は勝利(かつとし)。
梶田半古の画塾に入門し学ぶ。後に安田靫彦(ゆきひこ)に師事。
1930年に「葡萄(ぶどう)」が院展に初入選。
1949年から多摩美大教授を務める。

林義雄(はやし よしお、1905年〜2010年12月9日)
1905年に東京市東京市深川区深川(現・東京都江東区深川)に生まれる。
画家の福田美蘭は孫にあたる。
蔦谷龍岬のもとで日本画を学ぶ。
1924年に中央美術展に入選。
1961年に武井武雄、黒崎義介らとともに童画家協会を設立。

柿本幸造(かきもと こうぞう、1915年〜1998年)
1915年広島市に生まれる。
10代後半から絵を習い、1935年に上京し、宣伝関係の会社に勤める。
童画家として活動。「どんくまさん」(蔵冨千鶴子作)の挿絵画家として知られる。
1959年に小学館児童文化賞を受賞。

ビネッテ・シュレーダー(Binette Schroeder、1939年12月5日〜)
1939年ドイツのハンブルクに生まれる。
ミュンヘンの美術学校卒業後、スイスのバーゼル市立実業学校で商業美術、活版・石版印刷、写真等の教育を受ける。
1971年に「お友だちのほしかたルピナスさん」でブラティスラヴァ世界絵本原画展で金のりんご賞を受賞。

リスベート・ツベルガー(Lisbeth Zwerger、1954年5月26日〜)
1954年にオーストリアのウィーンに生まれる。ウィーン市立美術大学を卒業。
卒業後イラストレーターとなり、ドイツの編集者ミヒャエル・ノイゲバウアと多くの仕事を手がける。
1990年に「鼻の小人」でアンデルセン賞の画家賞を受賞。

井沢洋二(いざわ ようじ、1949年〜)
1949年、宮城県仙台市生まれのイラストレーター。
1974年に武蔵の美術大学商業デザイン学科を卒業。
1986年に絵本「あさ」でボローニャ国際絵本展でグランプリを受賞。同作品でニューヨークタイムスの年間最優秀絵本賞を受賞。1987年には同作品でサンケイ児童出版文化賞を受賞。

ピーター・シス(Peter Sis、1950年〜)
1949年、旧チェコスロバキアのブルノ生まれ。プラハのアカデミー・アーツ・イン・アプライドとロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アートで学ぶ。
映像作家としてキャリアをスタート。1980年に西ベルリン映画祭で金熊賞を受賞。その後、トロント映画祭でグランプリ受賞。
1982年にオリンピック撮影のため渡米するが東欧が不参加を表明した後、アメリカへ亡命する。その後、絵本作家になり1996年に「星の使者」でコールでコット賞を受賞。
2012年には国際アンデルセン賞の画家賞を受賞。

ウォリック・ハットン(Warwick Hutton、1939年7月17日〜1994年9月28日)
1939年イギリス生まれの画家・イラストレーター。1984年「さかなにのまれたヨナのはなし」でボストングローブ・ホーンブック賞の画家賞を受賞。

津尾美智子(つお みちこ、1947年〜)
1947年生まれのイラストレーター。

ナザレの少年 舟越保武
「ナザレの少年」
1986年


橋をかける 安野光雅
「橋をかける」
1998年


木のてっぽう 舟越桂
「おもちゃのいいわけ」から
木のてっぽう 1985年


パパのはともだちがたくさんいた 津尾美智子
「パパにはともだちがたくさんいた」
1985年


開催概要

会期
2013年3月8日(金)〜5月12日(日)
会場
盛岡市中央公民館 第1企画展示室
開場時間
9:00〜17:00(入場は16:30まで)
休館日
月曜日(祝日に当たるときはその翌日)
入場料
500円(うち300円は絵本による支援活動に充てられます)
中学生以下無料
主催
3.11絵本プロジェクトいわて、盛岡市、盛岡市教育委員会
後援
中津川流域文化施設連盟「NACA」
(岩手県民会館、もりおか歴史文化館、深沢紅子野の花美術館、もりおか啄木・賢治青春館)
交通案内

icon バス:盛岡駅発松園山岸線→松園ニュータウン行 中央公民館前下車(盛岡駅から15分)

icon タクシー:盛岡駅から約10分

icon 徒歩:市役所・県庁から約15分、盛岡バスセンターから約20分

地図
問い合わせ先
盛岡市中央公民館
〒020-0013 岩手県盛岡市愛宕町14-1
電話:019-654-5366 FAX:019-653-3505